「深田ありとも知らずして」田植えと木曾の最期

今日は風もなく一日暑いくらいの良い天気でした。
朝、コシヒカリの種籾を催芽機に入れ六月植えの準備です。3月末には芽が出るのに24時間かかっていましたが、さすがにこの時期だと浸種の水の温度も上がっているし、朝六時に催芽機に入れて32度の温水を保つと夕方17時にはすでに発芽状態で、催芽機を止めました。明日は朝から播種して苗代に出します。


で、今日は秋の詩の田植え。三枚植えましたが、そのうちの一枚は展示圃場ということで、20キロの肥料に5kgの窒素成分の入った中晩生用緩効性化学肥料をやりました。どうもたくさん肥料が落ちてしまって24aに100kg分、窒素でいうと25kg落ちてしまったのですが、ま、緩効性の肥料ということで、穂肥で調節することにします。あとの二枚は通常の有機成分が半分入った肥料です。展示圃場ということですが、誰が見に来るの?肥料会社?製薬会社?ま、いいですけど。
しかし今日植えた秋の詩はちょっと短いんですよね、4月25日に播種したやつですから、ま20日ほどの苗代期間ですね。コシヒカリの方はもう少し伸びてきたので、水を入れて深水にすることが出来のたのですが、ちょっと秋の詩は無理ですねぇ、うーむ。もう少し待って植えてもよかったのですが、風もなく天気が良かったので・・・。


そうそう、今日田植えした田んぼは深いところがある田んぼで、トラクタやらコンバインやら田植え機もハマる(深みにハマって動けなくなる)のですが、だいぶましにはなってきているのですが、今日もハマりかけて、田植え機が傾き、またのけ反るようになったりして、エンジンを吹かしたり、クラッチ操作で切り抜けたりしたのでありました。で、切り抜けたあときまって、平家物語を思い出すのです。木曽義仲と今井四郎の段。木曽殿の最期。
「木曽殿は只一騎、粟津の松原へかけ給ふが、正月廿一日、入相ばかりのことなるに、うす氷ははったりけり、深田ありとも知らずして、馬をざっとうち入れたれば、馬の頭も見えざりけり。あふれどもあふれども、打てども打てどもはたらかず。今井がゆくゑのおぼつかなさに、ふりあふぎ給へる内甲を、三浦の石田の次郎為久おっかかってよっぴいてひやうふと射る。」
いや、やはり名文ですな。高校生の古文で習いましたね。ここのところの「あふれどもあふれども、打てども打てどもはたらかず。」これがね、思い出されて、田植え機の上で平家物語を少し暗唱したりしているのでありました。そういや、「橋本双調平家」12巻まで読んで、Amazonの古本に13巻が出てなかったので、以後買いそびれているのですが、難関まで出てるのかな?調べてみたら14巻までですね。あっさり13,14巻とクリックしてしまいました。うーむ。義仲の乗っているのは「きこゆる木曾の鬼葦毛といふ馬の、きはめて太うたくましいに、金覆輪の鞍おいてぞ乗ったりける」なんですが、ま、僕はヤンマーの田植え機なんですけどね。


気がつけばカエルの大合唱が聞こえていますが、そういえば昨日田植え機に乗っていると、あちこちでトノサマガエルが追いかけっこをやっています。それからカエルの卵も見つけました。そういう季節なんですね。