奥本大三郎先生とファーブルと昆虫記の値段

青申の準備を気にしつつ奥本大三郎『自選紀行集』(JTB)を読み出したら、とっても面白くてやまらない。確定申告が進まない理由にしておきましょう。奥本大三郎先生の本はできるだけ目を通すようにしていますが、さすが自選の文集だけあって、面白いものが集められています。今日は病院の待合室で読んでいて、何がどうだったのか今となってはわからないのですが、はまってしまって、不意に笑いが込み上げてきて、まさか病院の待合室で高笑いもできず、ククククククククッ、と笑いを押し殺しこらえていましたが、こらえればこらえるほど、どうにも涙が出てくるやら、鼻水が出てくるやら、ククククククククッ、ズズズズズズズゥ、というありさまで、もうだめ。回りの人から注目されているのはわかるのですが、顔が上げられず、身体を震わせておりました。なんとも怪しい男になってしまいました。いやはや。やれやれ。
誰かが指摘しているか、ご本人の奥本先生も意識していらっしゃるのかどうかわかりませんが、奥本先生の文体は開高健の文体を思い起こさせます。彷彿とさせます。そういう気がします。匂いがします。
『すばる』に連載されていたときは読んでいたのですが、まだ買っていない『完訳 ファーブル昆虫記』を読まなくてはいけないのですが。ちょっとこのシリーズは金額の設定がどうにも高め。どうしてこんな値段にしたのやら。いや、それぐらいの値打ちがあることは、重々承知しているのです。しているのですけど。(もちろん僕は全巻買うつもりです。子供達にも是非読んでもらいたいし。)
ああ、でもこれくらいの値段になるのかなぁ。そういう気がしてきました。子供達がカブトやクワガタやゾウムシやカミキリムシやアゲハやヤンマに興味をもたなくなったら、もうおしまいというか、大人がカブトやクワガタを子供達の遊び友達にさせてあげられないようならもうおしまい、という気がします。
ところが、うちの長女はチョウチョが嫌いです。あの羽の鱗粉の粉っぽさがたまらなく嫌なんだそうです。実際、モンシロチョウでも飛んでくると逃げるのですから、もう、なんとも。僕の子供なのにどうしてこんなことになってしまうのか。やれやれ。