奥田英朗『サウスバウンド』読了


桃の節句。雛祭です。午後から晴れてきましたが、寒いです。

奥田英朗『サウスバウンド』を読了。すごく面白かったです。特に後半は。爽やかな話ですし。八重山の人々の暮らしぶりがいいですね。家族のつながりや友情というのもいい感じで書かれています。いい小説でした。恩田陸の『夜のピクニック』もそうだったけど。ビルドゥングスロマン。こういうのに弱いですな。八重山に猛烈に行きたくなってきたけど。沖縄にはまだ一度しか行ったことがないんだよなぁ。
ユイマールというのも出てきますが、このあたりでは結(ユイ)といっています。でももうほとんど死語ですし、川掃除や草刈りなど地域の共同作業は残っていますが、共同作業に出るのは税金を納めるのと同じような感覚ですよね。助け合いという感覚は薄いですね。みんなが貧しいと助け合わずにはいられないところが出てくるでしょうけれど。
島の中という狭い社会だからこその濃密な関係でしょうか。農業をして晴耕雨読でのびのびと子供の成長を眺めながら暮らしたいが、お金のことを考えなくてはいけないのがやっかいなところですわね。

お雛さんをだしてあるのだが、次女が幼稚園で作ってきたお雛さんもなかなかいいなぁ、としみじみ眺めてしまう。