『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』

昨日ふと村上春樹の『もし僕らのことばがウィスキーであったなら』を読み返してみた。やっぱりいい本です。村上陽子さんの写真もきれいだし。開高健の文章からお酒の味、ウィスキーの味に興味を持ちはじめて、開高健がバーでいつも飲んでいるらしいというマッカランシングルモルトに目覚めたのだが、(いや、正確にはニッカの「ピュアモルト」のブラックとレッドというのが80年代の中ごろに出て、その理科の実験器具のようなボトルとかコルクの栓とかにしびれたのが最初かも)で、村上春樹のこの本でアイラ島シングルモルトを知ってから、シングルモルトの深さがわかったような。
アードベックとブナハーブンの違いを、グールドとゼルキンの弾く「ゴールドベルグ変奏曲」の違いで表現してあるところとか、胸がキュィーンとなったのを覚えている(でもなんでこの比喩にそんなに感激したのかな?たぶん酔っていたのだと思うけど)
アイラ島にいったら必ず生牡蛎を食べようとも思ったしね。生牡蛎シングルモルトをかけてズルズルと口の中へ。ああ、行ってみたい。「うまい酒は旅をしない」そうですから、こっちがうまい酒を飲みに出かけないといけないわけですわね。「あとがきにかえて」の最後の段落の文章もしみじみとします。